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6月12日(土) 平成会の勉強会が行われました。
今回の勉強会場は、埼玉県指定有形文化財の川越城本丸御殿
保存修理工事の現場です。
この工事は (株)あじま左官工芸様 が左官技術の粋を結集して、
施工に当たっている大迫力、大規模な物件です。
入り口前に全員集合。
建物の大きさに驚く参加者の皆さんです。
当日は阿嶋一浩社長様自ら現場に登場、技術担当の田沢様と一緒に、
現場を案内していただきました。
見学前に建物の歴史や現状、今後の工事の予定など説明がありました。
いつものように阿嶋氏(左)の居るところ笑いが絶えません。
楽しいハイレベルな見学会の始まりです。
さてどんな演出が待っているのか・・・。
先ずは外部の施工から、見事な屋根漆喰の仕上がりを拝見します。
いやー 凄く綺麗ですね!
瓦が古くなって破損した物もあり雨漏りが発生している状態でしたが、
屋根下地からやり直し、瓦も張り替え見事に修復されています。
あじま左官工芸が作り上げる屋根漆喰の見事な仕上がりは、
見る者に本物は何かを教えてくれる最高の舞台です。
新緑に映える白い漆喰の美しさ、素晴らしいです。
皆さん感動の眼差しで暫しその場に釘付けです。
左官伝統工法を熟知し、その持てる技量を川越城本丸御殿で発揮する
田沢氏(中央)です。
優しく語る氏ですが、その解説の端々に仕事の難しさを感じ取ることが出来きる
厳しい言葉が。
困難な修復に対応策を次々と生みだします。
豊富な経験と材料を知り尽くす人のみが出来る究極の技です。
内部へ移動するとこれまた素晴らしい世界が広がっています。
修復の内容は、柱や梁、床の傷んでいる部分を新材と交換したり、
削り取って別の材料で埋めたりして建築当時の強度に戻す作業を
行っています。
大変に手間と時間のかかる仕事です。
壁に関しても、木材部分の補強に伴い各場所の状態を調べると
弱わっている部分が多く、中には何故か石膏ボードが使われているところもあり
ほぼ全面的に対策を施す必要があると判断されました。
いったん壁を全て除去し、竹小舞を編み、土壁や漆喰で復元します。
この大変大掛かりな作業を考えると、歴史的に貴重な建築物の
復元の意味や重みを充分に感じ取ることが出来ます。
平成20年10月から始まり、23年3月完成予定の川越城本丸御殿が、
あじま左官工芸様の手によってどの様に蘇るのかとても楽しみです。
きっと素晴らしい文化財として多くの人々に感動を与えることでしょう。
阿嶋氏、田沢氏の絶妙なコンビで、随所に笑いありの見学会は最高でした。
阿嶋社長様、田沢様、平成会の皆様、ありがとうございました。
工事の安全をお祈りして御礼の言葉とさせていただきます。
投稿時間 : 10:22 個別ページ表示
西武新宿線 新井薬師駅近くに日曜日も楽しめるもつ焼き屋があります。
雨上がりスキップするように心を躍らせ四文屋に飛び込みます。
ここが本店で昔から変わらない四文屋モード、
これに飲兵衛の心と体がくすぐられるのです。
いつも最初にお願いするのは新鮮レバ刺しです。
たっぷりとネギをのせた上にごま油がかかっています。
甘いレバーとネギ、ごま油のコラボは最高です。
牛刺しです。
美味しい肉質を味わう為、ニンニク醤油をほんの少しつけていただきます。
うん、旨い!
さっぱりセロリの浅漬けで口直し・・・いや、これも大好きな外せない一品です。
さて、焼きものと参りましょう。
カシラ塩です。
ジューシーで噛めば噛むほど味の出る美味しさです。
テッポウタレをお願いします。
「テッポウこれでやまですっ」と店員さんが業務連絡。
思わずラッキーと心の中でガッツポーズをしてしまいました。
しみじみ味わう逸品です。
ビールから焼酎の梅割にシフトします。
キンキンに冷えたキンミヤ焼酎に梅のエキスを一垂らし。
ほんのり梅色、何とも綺麗な魅惑の液体です。
口から運び一すすり!
心に染みいる梅割です。
これも外せない厚揚げ。
四文屋では油揚げと言うのです。
サイズSでショウガを効かせていただきます。
お薦めの中からプチトマト串です。
トマトの酸味がいいですね。
エリンギバター串も焼酎によく合います。
アスパラも行っちゃいます。
絶妙な塩加減で美味しいですね。
あれっ グラスの液体は気が付けば赤ワインに・・・。
まだまだ続く四文屋の夜でした。
追伸:写真(料理)を撮っていいですか?と声を掛けると、
ポーズを取ってくれた店員さん?! 最高です(笑)
ありがとうございました。
投稿時間 : 10:02 個別ページ表示
平成22年6月6日(日) 小林隆男氏 登場
パオ連続講座 第4回目が
「琵琶湖の土の話」をテーマに開催されました。
地元琵琶湖エリアで土の研究に没頭する小林氏が語る、
「大津壁」 「大津磨き」 「近江商人」 とは?
待ってましたの左官界の貴公子と、美術家 木村謙一氏が繰り広げる、
楽しい左官ショーの始まりです!
小林氏の手による作品が沢山展示されています。
土の優しさを上手く表現した可愛い塗板サンプルですね。
大津の輝きはソフトで奥深い光を発します。
江州白(白土の現土)です。
これが全国でも最高級品と言われている白い土なのです。
小林氏が自分で焼いた貝灰です。
左は焼く前の貝、中央が焼いたもの、右が消化して
パウダー状にしたものです。
少々肌色っぽい色合いです。
その優れた素材を生かすのが小林氏の類い希な技なのです。
手掛けた作品や現場を、鏝扱いと同じように巧みな会話で披露してくれます。
土が持つ魅力と左官職人の心意気を優しく語り、
時には笑いのジャブを入れて会場を盛り上げます。
大津磨きの作品に会場の目は釘付けです。
多くの復元工事をこなす小林氏が目を向けるものは、
随所に光る職人技の数々です。
何気なく見過ごしてしまいそうな逸品も小林氏の目は逃しません。
何と言う美しさでしょうか!
先人達はこのような仕事を指示されてこなすのではなく、
左官の職人魂で自らが施していく心意気を大いに語ってくれました。
宝の山!
白土の他、色々な土が露出する画家のパレットのような山肌です。
ここで育ったなんて羨ましい限りですね。
石田純一モード?で、近頃忘れかけている土から出来た文化を、
熱く熱く聞かせてくれます。
人との出会いの大切さ、近江商人が職人を育てたこと、
施主と職人の良い関係を、自分の経験から心を込めて伝えていただきました。
そして何より、土そのものに触れていたい気持ちと、
土をこよなく愛するその人柄の素晴らしさが参加者の体に心地よく染み入ったのでした。
小林氏の鏝です。
天下布土
「土は小さな粒子からできている
そんな風に小さな小さなひとりひとりが集まって
無限の可能性を秘めた『カタチ』を生み出す」
江州左官 土舟 小林隆男親方の一心さ
「美しいもの は どうやって造る?
美しいとは??
銅が、金や銀よりも好きな色になった・・・」
お弟子さん 小舟さんの熱心さ
滋賀の土を愛する左官さんの講座は本当に美しく、力強く、
楽しかったのでした。
小林隆男様、小舟様、木村謙一様、ありがとうございました。
追伸:次回以降の予定は下記の通りです。
7月 4日(日) 三重の松木憲司氏、
8月22日(日) 高山の挾土秀平氏
9月26日(日) 兵庫の久住有生氏
10月24日(日) 伊勢の西川和也氏
どんな話しが聞けるのか楽しみです。
お問い合わせは、パオ まで。
投稿時間 : 10:16 個別ページ表示
6月4日(金)北九州市小倉の北九州国際会議場に於いて、
第45回 日左連青年部定期総会 福岡県大会が全国から
約300名の参加者を得て盛大に開催されました。
「左官でエコ」をテーマとして全国に若さと熱気を発信する素晴らしい大会でした。
総会の後は記念講演会として挾土秀平氏を迎え「自在な左官」を演題に、
熱弁を振るっていただきました。
開場前のエントランスでは多くの建材メーカー様の展示や、
特に注目を浴びた荒木富士男氏の「カリスマ左官の塗り壁実演」など、
ハイレベルで盛り沢山な企画が目白押しでした。
会場中央に展示された荒木氏とお弟子さんの作品です。
どうですか、この究極の洗い出しの技を!
どの作品も心が引き付けられる、左官愛溢れた逸品です。
中央に荒木氏、左がご子息様です。
荒木氏は84年全国左官技能競技大会で優勝、
その後のご活躍振りは、内閣総理大臣賞、建設大臣賞、労働大臣賞他、
数々の受賞にも表れるように、日本を代表する左官の名工です。
挾土秀平氏 著書 「のたうつ者」
是非皆さんに読んでいただきたい熱い一冊です。
とっ そこに挾土氏登場!
その場が熱い左官パワースポットになります。
左から、東京の山口氏、小沼氏、京都の田中氏です。
右から、北海道の中屋敷氏と田川産業の行平社長です。
次期青年部長に就任される、東京の阿嶋一浩氏登場です。
氏の周りはいつも楽しく笑いが絶えません。
その人柄にはファンも多く今後を期待される 賢者 です。
↑
クリック
総会が始まりました。
さすが日左連青年部、スケールの大きさにビックリです。
現青年部長の福岡 茂山幸裕氏のご挨拶で開会です。
氏の迅速かつ的確な行動力と統率力の素晴らしさは、
皆さんの良く知るところで、任期中の青年部の活動を大いに
盛り上げた功績に一際大きな拍手が送られました。
議案審議中の右から茂山氏、小倉氏、阿嶋氏です。
総会も無事終了し、新役員の紹介が行われました。
12代目部長、阿嶋氏のご挨拶です。
就任にあたり、更なる青年部の発展の為全力で突き進んで行く
強い決意を表明されました。阿嶋氏の手腕に期待を寄せる会場からは、
割れんばかりの大きな拍手が沸き起こりました。
そして、次回の第46回総会開催地を山形県に決定、
山形県支部長 大類務氏が気合いを入れて歓迎のご挨拶です。
いつも明るく元気一杯の氏の魅力を大いに発揮していただき、
山形の素晴らしさをガッツリと広めていただきたいと思います。
引き続き、「自在な左官」 をテーマに、
挾土秀平氏の記念講演が始まりました。
この講演会は事前に福岡県左官業組合連合会青年部、
北九州市左官業協同組合青年部の皆さんによって、
一般の方にもインフォメーションを行い500名もの参加者を得て
開催されました。
挾土氏のピンピンでエネルギッシュで、それでいて心底優しい
土への愛を語る姿に大きな感動を覚えます。
会場の皆さんもその一言一言に酔いしれています。
自分で創造する楽しさ、喜びを大いに学んだ講演でした。
次に、会場をリーガロイヤルホテル小倉に移し、
大懇親会の始まりです。
活きの良い九州男児が整列してお出迎えしてくれました。
会場は熱気ムンムンで青年部のパワーを見せ付けられた宴席でした。
阿嶋氏と挾土氏が左官の未来を語りあっています。
宴もたけなわ、九州男児の締めのご挨拶です。
そして、新部長の阿嶋氏による最後のご挨拶。
例によって笑いを交えてのスピーチは冴え渡り、
壇上の方、会場の皆さんが笑いに包まれていきます。
本当に今後が楽しみな日左連青年部ですね。
左官の世界にとても大きな良い事が起きる予感がします!
この空のように澄み切った若い左官さんの心意気にたっぷりと触れる事が出来た、
思い出に残る九州小倉の一日でした。
日本左官業組合連合会青年部の皆様、
福岡県左官業組合連合会青年部の皆様、
北九州市左官業協同組合青年部の皆様、
ありがとうございました。
心より感謝申し上げます。
皆様の益々のご活躍をお祈り申し上げます。
投稿時間 : 17:18 個別ページ表示
左官三昧の素晴らしい住宅をご紹介します。
下北沢の家
萩野アトリエ 萩野紀一郎氏の設計による木、土、漆喰、和紙、漆を用いた、
究極の快適住宅です。
萩野氏は能登半島地震で倒壊した土蔵や町並みを保全する活動を
続けておられます。その様子はNHKテレビのお昼のゴールデンタイムで、
大きく紹介されました。
現在は輪島市にお住まいで毎週上京されて竣工までの運びとなりました。
本物を求めるお施主様と本物を作り上げる萩野紀一郎氏と名工職人さん達の
技あり住宅はやすらぎと癒しの理想的住宅です。
そして塗壁は、左官 小沼充氏が腕を振るった事は言うまでもありません。
どうですかこのきりっとしたセンスの良さが光るデザインは!
見るからにこだわりの家作りが想像出来ます。
外部の壁は木と見事な調和を見せる深草色の左官掻き落としの技、
現場調合で作られたセメント系の材料で丁寧に仕上げてあります。
右の入り口から玄関に上がる階段脇の壁もモルタル掻き落としが、
施工されています。
次々と左官技が表れますね。
そして、玄関です。
さすが、本日のオープンハウスには大勢のお客様がお見えの様です。
オオッ 正面の壁には・・・。
小沼氏の絶妙な 「沖縄土大津磨き」 が渋く輝いています!
両袖を村上粘土の糊さし仕上げ白壁、天井には能登の和紙を
あしらい、互いを品格ある仕上がりで高めあっています。
いやー とっても上品で美しいですね。
初めて見る感動の作品です。
玄関から思い切りガツンとやられました!!
入って左側の部屋は音楽を楽しむプレイルームです。
壁は白い漆喰鏝押さえ仕上げで、その調湿性能と音響効果も考慮した、
空気の綺麗な室内になっています。
なるほど、楽器にも漆喰はその性能を発揮しているのですね。
広い室内はグランドピアノがとても良くお似合いです。
あれ?ピアノを良く見ると・・・。
これまた ウオッッ
スタンウエイ・アンド・サンズではありませんか!!
世界最高峰と言われる超々高級ピアノです。
この名器スタンウエイを預かり守る漆喰壁って凄〜い、偉〜い。
そして驚きは続くのでした。
こちらの浴室・パウダールームも実に素晴らしいです。
洗面台には能登輪島の伝統工法 拭き漆の技法を施してあるそうです。
広々とした室内に沢山の光が差し込むとても爽やかな空間です。
2階に上がる階段室です。
上がり切って振り返ると優しい白土の壁に包まれているのに
気付きます。
2階フロアーは南からの光をいっぱいにに取り込める開放的な
空間が待っていました。
選り抜かれた木材と漆喰の壁が見事に調和する、
とっても贅沢な展開です。
快適な生活が約束された本気で羨ましくなる世界です。
やはり空気の良さを実感するプレミアム空間ですね。
暫し言葉を忘れ無重力状態に居るようにあちらこちらを
さまよいます。
リビングとつながる白土で仕上げた書斎です。
とても落ち着く感じです。
魅力的で楽しそうななキッチンですね。
ここではどんな美味しいお料理が振る舞われるのでしょうか。
想像してたら急にお腹が空いてきたのはナイショです。
洗面所内にも白土の壁を施し、漆喰壁と相まって
その質感を楽しませてくれます。
敢えて同じ白を組み合わせるのも技の内なのですね。
改めて大津磨き壁の前に立ちます。
沖縄土と村上粘土、こだわりの土で仕上げた作品は
艶やかなサンゴの赤い色合いと、深みのある白色の
両方の美しさを楽しめる最高の仕上がりを見せています。
玄関に飾られた絵の木の額に何とも似合う土壁です。
萩野氏曰く
「東京の住宅地にしては少々欲張り過ぎた住宅ですが、
その分シンプルな構成と素材の種類を減らすように心掛けました。」
良く聞けばそれはとても難しいことだと思います。
建築の伝統工法を取り入れた優れた設計デザイン能力と、
高度な技術を持つ職人さんとが出会ってこそ初めて可能な
仕事だと思います。
ここまで技を駆使し完成された建築には、なかなかお目に掛かれません。
下北沢の家、拝見出来たことをとても嬉しく有り難く感謝します。
オーナー様、萩野紀一郎様、小沼充様 皆様、ありがとうございました。
今後の仕事に大いに参考にさせていただきます。
投稿時間 : 12:16 個別ページ表示