2010年01月31日
 ■ 早稲田大学大学院 土壁 動的破壊試験

1月25日(月) 早稲田大学大学院 創造理工学研究科建築学専攻
曽田五月也研究室において、土壁の動的破壊試験が行われました。

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凄い実験施設です。
木舞荒壁構造の長さ約3メートルの試験体が設置されています。
平成会の皆さんが施工した物で、綺麗な仕上がりに壊すのが勿体ない様に思います。

写真左側の梁が固定されており、右側の土台に左右の動的加重が加えられ動きます。
梁、土台、柱は実験中に外れないようにワイヤで引っ張ってあります。

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1000ラジアン(弧度法)からの試験は既に始まっており、
(柱が3mなので3×1/1000=3?の左右の動的加重を加えている。)
現段階は450ラジアンでした。
振れ幅は、3m×1/450の計算です。
まだ目に付くクラックは見あたりません。


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試験体の土壁を製作した平成会の皆さんも我が子を見守るようにして
試験に立ち会っています。

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良く見るとこの段階で、上の一部に割れが始まっていました。

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これは100〜75ラジアン位で、少しずつ貫伏せ部分に割れが出始めています。
クラックに赤いマークを丁寧に付けていきます。

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50ラジアンではかなり割れが激しく出てきました。

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マーキングとスケッチが大変になってきます。

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そして、最終破壊試験 15ラジアン(3m×1/15=200?)です。
左右20センチ巾で17秒の動的加重です。
いやー激しく割れました。
実際に地震の体験をしているかのような気持になってきました。

この動的破壊試験の結果がどのように出るのかが楽しみです。
想像していたより土壁は丈夫なんだなと思いました。
激しい振動にもっとバラバラになるのではと・・・。

早稲田大学大学院 曽田研究室の皆さんの、
てきぱきと冷静な行動にも目を奪われました。
若い方々が熱心に土壁に取り組んでくれている姿は、
我々の目にとても頼もしく写り感激しました。
皆さんの研究がこれから日本の建築を支えてくれるのですね。
今後益々のご活躍をお祈りいたします。
ありがとうございました。

取材ご指導、山口明様 ありがとうございました。

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2009年08月12日
 ■ 京都 伏見大亀谷 土処

京都の土処 伏見区深草大亀谷をご紹介します。
そこには、素晴らしい土が眠る夢のような世界が広がっていました。

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住宅街を抜けて山へ差し掛かると、竹林が広がって来ます。

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その奥へ入ると京土の採取場がドカ〜ンと表れました。
想像していたよりかなり大きな工場です。

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ユンボで土を取り分けています。

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黄色い帯は稲荷山黄土の層でしょうか、その他の土も幾層にもなって表れています。
じっと見ていると・・・
土が気が遠くなるような時を経て生まれる様子が分かるような気がします。
う〜ん 自然の凄さと土の美しさを目の当たりにして感無量です。

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採取された土は幾種類かに分けてストックされています。
まさに宝の山ですね。
トラックで来て積んで帰りたくなりました。

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良く見ると、黄土がちらほら混じっています。

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大きな固まりの中にはこのように黄土が層になっている物がありました。
原土の状態の色合いは自然の美しさを十分に見せてくれています。
大亀谷土、聚楽土、浅黄土、稲荷山土、白土、深草など、
その他あらゆる土が宝物のように眠っているのでしょう。

土に囲まれていると、何か心が癒され穏やかな気持になってきました。
なるほど、土壁が何故良いのか・・・すっごく分かった気がします!

頬ずりしたくなる自然素材の素晴しさを、もっと勉強したいと思った、
京都 伏見大亀谷の土処でした。

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2009年02月21日
 ■ ?中島建材 京都土処

予てより、京都でご活躍の久住誠氏からお話を聞いていた、
京都 京田辺市の?中島建材様へお伺いして来ました。

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京都の南に位置するこのエリアは伏見に程近い、良質な土が取れる
羨ましい土処です。

ついに念願叶って見学出来る日がやって来たのです!

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早速にお目当てのプラントへ案内をしていただきました。
かなりの大きな敷地にストックヤードを構えておられます。

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中島社長様です。
充分に練り込んだ荒壁用の木津の土を手に取り、粘度とワラの繊維の
具合を確認しました。
今までに見たり触ったりした事の無い感じです。

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その土を捏ねるミキサーです。
想像を遥かに超える大きな設備に驚きました。

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ミキサーの上に登って見れば、

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乾燥したワラが山になってます。

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そして、そのワラを大量に切断するカッターです。

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その下に3立方メートル練りのミキサーが構えています。
ショベルで木津の土を入れ、上からカットしたワラを落として
大きな羽根をゆっくり回し約3日間練り込みます。
これは凄い!
確かにこれならしっかり練り込める訳です。

これだけ練ると土とワラが良く馴染み、ワラ自体の繊維も揉み解されて
しっかりとした強い部分が残りスサとしての役割を充分に果たせるのでしょう。

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こちらは屋根土製造用のミキサーです。

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屋根用は、伏見大亀谷の土で木津とは違った黄色です。
ウム・・・これが本物の大亀谷の色合いかと見入ってしまいました。

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その他、多種に渡る袋詰の設備も完備していました。

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これは、乾燥させて精製した木津のマサ土です。
中塗でも仕上げ用にも使える粘土質が素晴らしいマサです。
指で擦り付けると軽く潰れる質感です。
この様にストック出来るのが羨ましい限りです。

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前もって用意していただいた、木津の練り込み土の乾燥させた物を
見せてもらいました。

どうですかこのワラの状態!
固く締まった塊は割って見ればそのしっかりした状態が確認出来ます。
これが壁になるとしたらクラックも無い強い素晴らしい土壁に成る事は、
間違いの無いところです。
中島社長は、お客様の現場の用途に合わせて希望通りの配合の土も
作ってくれるそうです。
京都という場所柄、国宝、重要文化財等の建造物や伝統的工法の
建築物が多い地域で、その修復や新築の施工に必要な本物の土を
供給するスペシャリストなのです。

本気で良い土造りに取り組まれているのですね。
感動しました。

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こだわりの土を作り続ける中島社長様ご夫婦です。
何年掛けてここまで来られたのでしょうか?
その努力と姿勢に尊敬の念を抱かずにはいられません。

久住誠氏が仰っていた意味が良く分かりました。
「中島建材さんが無くては困るのです!」
この言葉が頭の中にこだまします。
そして実際に拝見して、建材店の本来在るべき姿を見せていただきました。

大変良い勉強をさせていただきました。
弊社も中島建材様のようにお客様に必要とされる店を目指します。
そして、本気で土のこと考えていきます。
中島社長様、久住誠様、 ありがとうございました。


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2008年11月04日
 ■ 荒壁用 荒木田土 新発売

荒壁用 荒木田土が新発売になりました。

深谷配合粘土工業様が土に対するノウハウを駆使して荒壁用に
作ってくれました。

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良質な荒木田土を充分に練り込んで直ぐに使えるようにした
完全練り込みタイプです。
採取した状態の原土では、それをほぐしたり、ダマを潰したり
するのは大変です。
無駄な労力が省ける有り難い商品です。

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白地にブルーの荒木田土の文字が印象的ですね。

弊社で在庫販売を開始しました。
是非、ご利用頂きますようお願い申し上げます。

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2008年09月01日
 ■ 左官伝統工法 荒壁講習会

第5回 漆喰・土壁 技術講習会 好評受付中
詳しくは「富沢建材ホームページ 新着情報」 をご覧下さい。

8月10日・17日(日)の二日間に渡り、
東京都立城東職業能力開発センターに於いて、
左官伝統工法 荒壁講習会が開催されました。

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熱心な多くの参加者を得て、東京では今までに無い
本格的な荒壁の実習体験の場が用意されていました。

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講師に久住章氏を迎え講習会のスタートです。
氏の高度な技と溢れる知識を学ぶチャンスです。

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先ずは刈り込んだままの長いワラから、土に練り込む
ワラスサを作ります。
押し切りを操作して5〜6センチにカットしますが、
見ていると怖いくらい手早く刻んでいきます

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長いワラの一部で貫を塗る時に伏せ込むカキワラを作ります。
キッチリと長さを揃えて束ねておきます。
どの様に使うかは後ほど。

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さあ、荒木田土の練り込みです。
ミキサーで砂を配合し水を加えながら適度な状態まで
攪拌して取り出します。

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そこへ、5〜6センチに切ったワラをどっさりと乗せていきます。

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ワラが平均に混ざる様に一斉に鍬で練り込みます。
ワラが多いところ、少ないところが無いように目と手足の感触で
チェックしながらひたすら練り込みます。

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いい塩梅に荒壁土が練り上がりました。

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さい取り棒でひょいっとひとすくい。
早速塗り付け開始です。

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待ち受ける久住章氏にパス。

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受け取ってそのまま一発で小舞にぶつける様に塗り付けます。

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上から下へ鏝を動かし押さえ込み、均します。

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先程切り揃えておいたカキワラを貫の部分に伏せ込んでいきます。
3〜4本づつ先っぽを鏝で押えて直ぐ伏せ込む要領で素早く
貫に沿って貼り付けていきます。

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参加者も一斉にスタート!
さい取り棒のネタを受け損ねたり被ったりと大騒ぎです
でも流石に皆さん直ぐに技を習得して楽しそうに荒壁塗を
体験していました。

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途中に技術的な部分と構造の解説もして頂きました。
その場で受ける講義は分かり易く良く理解出来ます。
勉強不足だった小舞の性能や組む技術を教わりました。

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夕方には塗り付けが終わり、今回の総評を久住氏にお願いしました。
「良く出来たと思います。この経験を生かし、この先は自分で考えて
もっと素晴らしい物を作っていって下さい。」
参加者の今後の活躍を願うカリスマの言葉は 「左官 愛」 が溢れるものでした。

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最後に足立校指導員、横山先生より修了証書の授与が行われ
閉会となりました。
皆様お疲れ様でした。


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何と私まで修了証書を頂いてしまいました。(感激)

東京都立城東職業能力開発センター 足立校の
素晴らしい環境の中で久住章氏の最高技術を見学出来て、
本当に最高の勉強になりました。

またまた、左官の奥深さに魅せられた2日間でした。
スタッフの皆様、参加者の皆様ありがとうございました。

投稿時間 : 08:56 個別ページ表示

2008年07月09日
 ■ ヤネペットの販売を始めました。

(有)深谷配合粘土工業の荒木田土、
「ヤネペット」 の販売を始めました。

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練り込んだ荒木田土と、それに麻スサを配合した物、
2種類を在庫しております。
荒壁用と屋根用に、即ご使用いただけます。
更に、注文でワラを配合する事も可能です。

良質な荒木田土を是非ご利用下さい。

投稿時間 : 08:24 個別ページ表示

2008年06月21日
 ■ 奥田信雄氏講習会パネル その後

奥田信雄氏による、第4回 漆喰・土壁 技術講習会は、
お陰様でご好評を頂き1ヵ月経った今も、
「良かった」「勉強になりました」とのお声を頂戴しております。

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さて、当日塗り付けて頂いたパネルのその後は如何に?
「投げスサ仕上げ」です。

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隅の部分まで均等に綺麗に引き摺りの目が出ています。

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こちらは、徐々にワラが浮き出て来ました。
この先が楽しみです。

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水捏ね仕上げです。

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京都の撫で物では最上級の仕上げです。
糊を入れず水だけで練ったムラや割れの少ない仕上げです。
特に奥田氏の水捏ねはワラを多く入れる為、
難しい技を駆使しての究極の仕上げとなります。

土の持つ自然な風合い色合いと、強い粘土質とが調和して
「投げスサ仕上げ」の動きのある表情と、
「水捏ね仕上げ」のうっとりとする上品な趣は、
どちらも見る者の心を惹き付けます。

実際の壁で見る事が出来たら・・・と思う今日この頃です。
今度はいつ京都に行けるかな!

ご紹介したパネルは弊社に展示しておりますので、是非ご覧下さい。


投稿時間 : 09:29 個別ページ表示

2008年02月08日
 ■ 久住 章 土壁 掻き落とし仕上

久住 章氏の東京中目黒で施工された土壁掻き落としの現場に
お邪魔してきました。

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やってるやってる、中目黒駅からほど近い現場は、
通行人も思わず足を止める注目の世界です。

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完成間近の現場では久住親方も大忙しで作業されていました。

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それにしても美しい掻き落としです。

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細かい所まで実に見事な仕上がりで、手仕事の素晴らしさに
目を奪われます。

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作業の邪魔にならない様にしながら、舐めるが如く全ての壁を
見て回ります。
それにしても見事なラインです。
久住親方曰く、キッチリし過ぎてもいけないそうです。

皆さん、ひたすらカキカキしています。

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感じの出ていない部分に土を塗り直し細かい調整をして行きます。
熟練の感覚と技がモノを言う時です。

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島根県の名工 品川左官 品川 博氏です。
墨を打ったラインを、くり鏝でえぐっていきます。

品川さんは、先日2月3日NHK総合テレビ 「いよっ 日本一!」 で
オンエアーされた 「職人日本一 島根県」 で、トップバッター
として出演されました。
それはそれは見事な品川氏の作品が紹介され、多くの人に
感動を与えた心に残る番組でした。
弊社にも 「蟻」 の作品を展示させて頂いてます。

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この日は多くの左官さんが助っ人で参加されていました。

小沼左官 小沼 充氏です。
小沼氏は久住親方とニューヨークで一緒に仕事をした仲で、
息の合った作業振りは見ていてさすがだなと思える身のこなしです。

昼間はそこそこマジメなんだなぁ・・・。

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仕上げ面の処理を施す、田中氏、上野氏です。
超ベテランの腕の見せ所です。

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長田左官工業 長田氏です。
若手の代表格で全国神出鬼没の熱心さと丁寧さが伝わってくる、
根っからの左官職人です。

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山口工芸舎 山口氏です。
技術もさることながら、左官的塾で左官の広報にもご尽力されている
プレゼン ワークマンです。

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久住親方の作業場は、笑いが絶えません。
真剣で、やっている事が凄いのに、いつも笑顔で周りを笑わせます。
ややもすると緊張の連続になりがちな空気を、親方心でほぐして
くれているのでしょう。
だから良い壁が出来上がって行くのですね。

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品川氏は正月明け早々に久住氏と台湾の現場へ行きっきりで、
帰国後もそのままこの現場で施工に関わっておられるそうです。
台湾の現場は先程のテレビでもやっていました。
本当にご多忙な品川氏です。

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オオッ 室内の仕上がった壁です。

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ライトに照らされて浮かび上がる表情は、呼吸しているのが
分かる生きている壁です。

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この壁がどれだけの人を喜ばせ、癒していくのでしょうか。
玄関から室内まで行き渡るこの空気、さぞ贅沢な時間を
演出する事でしょう。

頬ずりしたくなる様なその風合いを生み出した久住氏の
類い希な感性に万歳です。

良いモノを見る事は、本当に大事な事ですね。
また一歩前進出来た気がします。

久住親方、皆様、ありがとうございました。

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2007年12月11日
 ■ 三木きよ子先生(土絵作家)の泥団子教室

土絵作家 三木きよ子先生の 「ぴかぴか泥団子教室」 が
文京区 「千石空房」 で開催されました。
築80年になる建物はレトロな雰囲気を堪能出来る環境で、
泥団子教室には持ってこいです。

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会場は溢れんばかりの参加者で興奮と期待の中、
泥団子教室は始まりました。

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見て下さい、ちゃぶ台です。
今ではなかなか見られませんね。

解説書と道具がセットされています。
普段目にする何気ない容器が、
団子作りに欠かせないグッズなんですね。

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先ずは三木先生泥団子に付いての説明です。
材料の紹介から作業工程まで、子供にも分かり易く丁寧な解説です。

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それでは、早速ノロの塗り付けを行いましょう。

予め用意された白い泥団子は、土と砂とワラを混ぜた物で作った
ベースの団子に、砂漆喰1回、ノロを3回塗り付け真円に成るように
丁寧に作り上げた物です。
実はここまで作るのが大変なんです。
良く光るかどうかは、この下地の出来いかんで決まってしまうのです。

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皆さんも好みの色を選んでノロの塗り付け開始です。

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塗り付けたノロをフィルムのケースで赤ちゃんのホッペを撫でるように薄く均一に塗広げます。

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素早くクルクルと回しながら広げ、余分なノロは戻します。

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アドバイスを受けながら慎重に手を動かします。

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全体にノロを塗広げたら今度は乾燥です。

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ドライヤーを使って効率良く。
綺麗な淡い色になってきました。

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すると、直ぐさま2回目のノロ塗り付けです。

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1回目の時より慣れたか、

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手つきが良くなって来ました。

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このあたりから皆さん間違いなく泥団子の世界に入り込んで
来てます!

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ここでオリーブオイルを少々付けて、

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手早く薄く手の平で広げます。

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そして、チョーヤの梅酒の瓶を軽く当ててやはり赤ちゃんの頬に
触れるように優しくオリーブオイルを擦り込むように当て回します。

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次にタルク(ろう石の粉)をちょいと塗り付けます。

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少量を軍手に取って、

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全体にまんべんなくまぶします。

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さあ、ここからがぴかぴか泥団子の真骨頂!
少し力を入れて磨き込です。

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心を、その他この際何でも込めて集中します。

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そこに、巨匠 榎本新吉氏 登場。
「何処から来たの?」
「下手なんだから、まったく!」
と、榎本節サクレツ。

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皆さん気合いを入れて集中です。

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すると、来た来た輝き出しました!
深みのある良い色合いですね。
お見事、感激の瞬間です。

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最後に柔らかい布を使って仕上げます。
いやー、こちらもお見事です。

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全員で記念撮影です。
自分の作った泥団子を持ってポーズ!
どれも傑作揃いです。

三木先生の指導のもと、見ている者まで楽しくなる
泥団子教室でした。
先生の土に対する情熱がこうして皆さんに伝わって行くのを
拝見してとても嬉しくなりました。
本物の感触、手作りの感動、皆さんの笑顔、
土が人に与えてくれる送り物だったんですね。

お子さんも大人も皆が楽しめる泥団子に万歳!!

三木先生、ご参加の皆様、ありがとうございました。

投稿時間 : 09:45 個別ページ表示

2007年09月22日
 ■ 土壁礼賛 「銀座の大津壁」   

世の中にはとても嬉しいことがあるものですね。
本当に素晴らしい塗り壁事件が起こったのです!
何故嬉しかったかは最後に・・・。

それは、銀座7丁目の粋な割烹料理店での出来事でした。

素晴らしい 「沖縄土 大津磨き壁」 です。

先ずは、3連発で見事な大壁の仕上がりをご覧下さい。

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如何ですか、この虫籠窓の美しさ!

小沼左官 小沼氏にお声を掛けて頂き大津壁の施工を見学させて頂きました。
それでは施工行程をご紹介します。

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ハンダ土(中塗り土+石灰+角叉のり+ワラスサ)を塗り付けた
下地壁です。
充分に乾燥した下地はガチンガチンで非常に強度が出ています。
そこへ、灰土(聚楽土+石灰+みじんスサ)を塗る前に水湿しを
行います。

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灰土の塗り付け開始です。
周り縁から素早く均一に塗り付けます。

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土物の塗り付けは水との勝負。
下地の水引具合や表面の乾燥具合などバランスと
タイミングを取るのが大変です。
なるべく全面が時間差なく塗終えるよう作業します。

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この段階で仕上げ?
と言って良いほど綺麗に平らに押さえ込んで行きます。

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押さえ込んで行くと水分の多い部分が出てきます。
ムラ乾きを調整し全面同一な下地にする為、
新聞紙を貼り付けてその上を鏝で押さえ水分を吸い取ります。
手の平で触れて確認し何度もこの作業を繰り返します。

下地の段階でこんなに手を掛けているんですね。

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さあ、大事に寝かせて置いた逸品!
引土(色土+石灰+紙スサ)の塗り付けです。

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先ずは虫籠窓の周りから慎重に。

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下地に擦り込むように素早く均一な厚みで塗り付けます。

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この行程で2回塗り付けを行います。

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2回引土を塗り終えた後、水引具合を見て全面押さえに入ります。

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鏝に力と心を込めて真剣に壁に向かう小沼氏です。

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湯河原の長田左官工業 長田氏がスーパーミンク掛けを起こない
表面に浮いた水分を拭き取ります。

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木村左官工業所の木村氏も技を駆使しての大津磨きです。

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奥の間は本格的聚楽壁の日本間です。
大津壁と最高の和のコンビネーションですね。

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虫籠窓越しに見る小沼氏の仕事振り。
大津壁に真剣に取り組むその表情は・・・
冗談ばかり言っている普段の姿とは打って変わって激マジです!

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そして作業は細かい部分へと入って行きます。
神経を集中して面を取ります。

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ただ面を取るだけでなく、大津壁の場合は押さえ磨きながらの作業で
ひたすら慎重にじっくりと進めて行きます。

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大壁と同じ面の役物は同時進行で仕上げるため、
仕上げて行く時間にも制限があり大変難しいそうです。

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Rの部分は斉藤左官 斉藤氏の京都で鍛えた腕の見せ所です。
巧みな決め技に目を奪われます。

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見事に仕上がった大津壁です。

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見つめていると何か夢の中に居るようで、
感激の時間に浸らせていただきました。

何て素晴らしい美しい 「壁」 でしょうか!

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道具箱の中にある鏝は宝物です。
緊張から解放された時、皆でそれを手に取って
語り合う鏝談議は素晴らしい逸話です。

そして、何より最高なのはその笑顔です。

納得の行くまで、何処までも技を追求し続ける
本物の男の笑顔です。

良い仕事を見せていただきました。
やはり実際に現場で拝見するのがとても良い勉強になります。
この様な大きい大津壁の施工は滅多に見られません。
ありがとうございました。

そして、最初に申し上げたとても嬉しかった事・・・。

実は、このお店のオーナー様が、以前6月頃に弊社展示室に
お越し下さり、大津磨きをご覧になっていたのです。
その時立ち会わせていただいた私はその熱心なお気持ちに
お応えしようとあれこれご案内をさせていただきました。
偶然とはいえ、現場でご挨拶した時はとても驚きました。

オーナー様の本物を求めていただいた結果が、
この大津の大壁に繋がったのかと思うと嬉しくてたまりませんでした。

建材屋冥利に尽きる一日でした。

オーナー様、本当にありがとうございました。
心から感謝申し上げます。

こちらで頂くお料理とお酒はさぞ美味しい事でしょう。
一生懸命仕事して、いつの日か伺えるよう頑張ります。(夢)


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2007年06月19日
 ■ 泥団子の気持ち

最近、何かと気忙しい日々を送っていた時に、
恩師、榎本新吉氏からお声がかかり千石のご自宅へお邪魔しました。

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原点に戻って泥団子の勉強をさせていただきました。
しかし、いつ来ても、来る度に材料も技も進化し続けているのです!
榎本親方の探求心には本当に驚かされます。

先ずは、マイコレクションをご紹介します。
沖永良部島の土で作った泥団子です。

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木節粘土をベースに、黄土を少しトッピングした作品です。
淡い色合いはなかなか魅力的です。

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これは、3年前に作ったものです。
白ベースに藍染めの藍色で模様を付けた団子は今も輝きを保っています。

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お次は、弊社の技術講習会「黒漆喰磨き」で使った黒ノロを、
榎本親方が手を加えて作ったノロで仕上げた泥団子です。
実はこれは少し前、家内が親方に手解きをいただいて作ったものです。
すっかり自信付けて偉そうに持って帰って来ました。
(材料が良いからなのだ!)

でも、深みのある輝きは見事です!!

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そして、私が作った泥団子2個です。

ご覧下さい。
今までに見たことの無い色合いと雰囲気です。
左官教室の小林編集長が 「利休ねずみ」 と言ったとか。

薄墨を使うこの技法は、千石磨きの進化を象徴する逸品です。

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数日後、再び伺うとこれまたビックリの泥団子教室です。
下地を整えた後、何やら不思議なものが混ざった薄緑色の
ノロを塗り付けます。

榎本親方、それを何かは明かしてくれません。
重ねて塗り込むうちノロの色がだんだん濃くなっていきます。
あれ?これって・・・。

親方の命令でお教えするのはもう少し後に致します。
まったく、どこまで進化するのでしょうか?
榎本氏の飽くなき探求心は計り知れないものがあります。

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これも3年位前に貰った泥団子の一輪差しです。
命を宿しているような愛らしい小さな団子です。

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榎本親方の相変わらず愛ある厳しいお言葉をいただきながら久し振りに
泥団子作りに没頭しました。

慌ただしい毎日に、忘れかけていたものがにじみ出て来ました。
土いじりは癒されます。
土にはとても不思議なパワーがあります。
土のことが益々知りたくなりました。

また、榎本親方の 「ほーら、引っかかった!」 が出ました。
う〜ん、またしてもやられた!

こうやって、良いタイミングで声をかけてくれる優しい親方なんです。

家に帰ってじっと泥団子達を見ていると、それぞれの気持ちを語りあっているように
見えます。
「良い塗壁を作る為の実験の意味も含めて、早く世に出て人を癒す壁になりたい」
それぞれ皆、志の高い可愛い奴らです。

自然の素材だけで作る泥団子の素晴らしさは実に魅力的です。


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2007年04月26日
 ■ 「色土 小袋」」の販売を開始 

弊社が在庫販売する
土壁用 色土」 の小分け3?袋商品のご案内です。

かねてよりご要望のあった色土の小袋を弊社で製造販売を開始しました。

色土小袋ブログ用写真.JPG

現在在庫の24種類の土や硅砂を透明なビニール袋に3?づつパックして
色や質感を見やすくしてあります。
壁材としてのご利用以外、泥団子や造形作品など、小分けする事により
幅広くご使用頂けるように作りました。

価格等お問い合わせは弊社まで。
皆様のご用命をお待ちしております。

投稿時間 : 10:02 個別ページ表示

2007年04月10日
 ■ INAX 「土・どろんこ館」 感動の日

ついにその日が来ました!

INAXライブミュージアム 「土・どろんこ館」 に到着です。

良く皆さんご存じのINAXさんの発祥の地、愛知県常滑にある
恋い焦がれていた土の館です。
そして聞くのと見るのとでは大違いの迫力に顔面蒼土?になりました!
何と言う物を作ってくれたのでしょうか、辻 孝二郎館長様!!
しばらくその場に釘付けです。

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これだけの大きく厚い版築の壁は見た事がありません。
版築壁とは型枠の中に土を入れそれを上から何層にもして突き固め、
立ち上げた壁です。

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使った常滑の土は320トン。圧倒される訳です。
表現したかったのは質感だけでなく土の力と言う意味が分かります。

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擁壁はもちろん地元の「はがね土」です。
版築と同じ工法で作った後、パワーショベルで表面を削ったもの。
自然な山肌を表現し時間が経つとさらに風合いが出てくるそうです。
土の仕業?思わず触れずにいられません!

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くの字型に建つ土の館は見る角度によって違う表情を表します。

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ふと目を向ければ水飲み場のマーク。
お子さん達が駆け寄ってきました。

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上がって見ると可愛い洗い場です。
色鮮やかなタイルと3つの色づけされた版築の絶妙なコラボ。
なるほど駆け寄る訳です。本当に可愛い!

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玄関です。
さあ中へ入りましょう。

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ワッワッワッ! 凄い壁!!
「常滑大壁」 です。
はがね土を使った芸術作品です。
天井から差し込む光に変化し、見る場所によって目が追いつかないほど
巧みな表情を見せてくれます。
そして、なんと空気の良いこと!

丁度、泥団子教室が開催されていました。
皆さん熱中してますね。
この環境で泥団子が作れるなんて最高です。
3ヶ月位先まで予約が入っているそうです。

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実は版築の外壁も内装の塗り壁もすべて久住有生氏の手によるものなんです。
中央はお世話になったINAXライブミュージアムのコンシェルジュ 磯村 司氏です。

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常滑大壁は久住氏のオリジナル仕様で図面には起こせない程の複雑なデザインです。
ブロックごとの柔らかな局面と上下の切れるような角面は、左官鏝(コテ)で
塗り付けたとは思えない高度な技を屈指した仕上がりです。
発案から完成までどれだけ手が掛かっただろうか、
想像すると気が遠くなるような土壁です。
簡単には言い表せない次元の、土の可能性と魅力を教えてくれる作品です。

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日干しレンガの壁です。
このレンガの製作は地元の大人から子供までの有志、延べ200人が
参加して作ったものです。

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土とセメント、砂利、砂、ワラに色粉を混ぜて、それを型に入れて四角くし
乾く前に表面をひっかいて凹凸仕上げにしたものを、久住氏が積み上げて
壁にしました。
とても柔らかい表情の日干しレンガの壁は人を優しく包み込んでくれます。

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日干しレンガの壁伝いに2階へ上がると、そこには 「百土箱の引き出し」
があります。
100個の引き出しの中にはそれはそれは綺麗な泥団子や岩絵の具、パステルや
土絵作家 三木きよ子氏の写楽の絵など土に関する作品と情報が入っています。
開けてびっくり百土箱です。これは百見の価値あり。
(一部制作中のものが有ります)

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この百土箱の企画を担当されているのは中央の 岩月 真由子氏です。
泥団子教室の講師を務める中、100のテーマを考え引き出しに納めるのは
大変な事だと思います。
でも、そこは土と岩月さんの魅力で素晴らしい作品が集まる事でしょう。

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2Fからの眺めです。
本当に空気の良い事が実感出来ます。

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洗面所へのエントランスにはR面に施された見事な磨き壁が輝いています。
朱の磨きと、久住氏オリジナルのサーフィンワックス磨きです。
我慢出来ずにさわり倒します。
洗面所へ行く目的を忘れてしまう?エントランスです!

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そして、日本一のタイルメーカー INAX が作るトイレは?
さすが楽しくなる長居したくなるトイレです。

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小さいタイルちゃん達がみんなで楽しく遊んでいるように見えます。

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あっと驚くタイル職人の技!
見て下さいこの細かい所までキッチリ納める決め技を。
わずか2〜3?の勝負をしています。
この職人さんの血液型はA型?かな。

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出ました・・・54?の泥団子様がオーラを放っています!
三和土(たたき)床の上にどっしりと構えて泥団子教室を見守っています。
皆思わず心地よい三和土床に泥団子様を囲んで車座になり土の魅力について
語り合うのでした。

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誰もが思う、どーやって作ったの?
お教えしましょう。
芯には、陶器で作る大きなカメの丸い底の部分を2つ合わせて球体を作り、
その上から土を塗り付け磨きをかけているそうです。

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手前に東京から持ち込んだ榎本新吉氏作の沖永良部島の土で作った
泥団子を置いてみました。 すると・・・
どろんこ館泥団子 「よく来て下さいました」
榎本新吉泥団子 「あ〜あ ありがてな〜」
って挨拶しているのを間違いなく聞いたんです!

どこを見ても驚きの 「土・どろんこ館」 は日本の建築の救世主です。
辻 孝二郎館長曰く、「機能ばかりが優先されて、ゆったり出来ない
建築ではなく、どこかに無駄な場所があって、中に入った人が気持ちよく
のんびりと、子供だったらわくわくと過ごせるようにしたかった」
のお言葉に忘れている家本来の姿があるように思います。
スタッフの皆様のただならぬ熱意も痛いほど伝わって来ました。

土・どろんこ館で得た貴重な経験を東京の皆さんにお伝えすると同時に、
なお一層、土・どろんこ道に精進してまいります。

辻館長様、磯村様、岩月様、スタッフの皆様、
本当にありがとうございました。
皆様の益々のご活躍をお祈り申し上げます。

水と風と光のタイル 「帝国ホテルの顔─大谷石とタイル」 展覧会
絶対に見学に行きます!

投稿時間 : 08:19 個別ページ表示

2007年01月19日
 ■ 小舞壁のお話

昨年の秋に日左連主催の職業能力開発総合大学で行われた
伝統工法講習会の中で小舞の施工を見せていただきました。

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この滅多に見られない小舞の技をご披露いただいたのは、
(株)あじま左官工芸」 の金田様です。

あじま左官工芸様は神社や文化財の左官伝統工法の施工を
最も得意とする非常に高度な技術を有する会社です。
仕上げる現場は凄い物件ばかりです!
阿島社長をはじめ若い職人さん達は日々技術の習得に貪欲で、
その技術の一部をこの講習会で見せて下さいました。

実際に竹割りと言う道具を使って真竹を割るところからの実技は、
非常に分かりやすく、普段なかなか見る事の出来ない小舞の世界を
じっくりと見学する事が出来ました。

それでは金田さんの技をご覧いただきましょう。

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竹割りは真竹の頭に刃を合わせ真下に向かって打ち下ろして行きます。

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すると・・・

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これ面白い様に均等に割れます♪

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割った竹の面を削ります。

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割れ竹を編んでいきます。この作業を小舞掻き(こまいかき)と言います。
枠組みの内側に穴をあけ、まずは縦方向から割れ竹を取り付けて行きます。
縦が終わったら写真の様に横方向に掛かります。

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中央の間渡し(縦の板)と貫(横の板)にビスで固定します。

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そして、縦の小舞竹と横の小舞竹をワラ縄で結って行きます。

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実際の小舞仕様の建物で小舞掻きが完成すると、それだけでもアート!
芸術作品!で、荒壁土を塗り付けるのがもったいないと思ってしまう程
素晴らしい建造物になります。

チャンスがあれば見る価値多いに有りです。

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次に、荒壁土作りを実演していただきました。
土に入れるワラです。

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昔、子供の頃見た事のある切断機ですね。
約10?ほどのサイズで切っていきます。

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切り手は中野の諸岡左官様です。
切れ味も良く楽しそうですね。

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切断したワラをワラスサとして荒壁用の土に練り込んで行きます。

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練り込んだ土を水分を保ったまま2ヶ月から半年ほど
寝かせワラを自然に発酵分解させます。
熟成ってやつですね。
それによって粘りのある良い壁土になるのです。
さらに塗り付ける前にもワラを足して練り込みます。

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さあ塗り付けです。

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まず、小舞竹が横方向の面からぬります。
縦方向から塗ると土が小舞竹に引っかからず落ちてしまうからです。

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たっぷりと荒壁土を塗り付け、しっかり裏に押し出します。

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裏から見ると土が良く出ています。
この状態で塗り終わると完全に乾くまで置いて、
その後裏面を塗り付けます。

この様に手間と時間を掛けるから良い壁になるのですね。

大変勉強になりました。
滅多に見ることの無い施工を見せていただき感謝です。
有害物質を含む建材を多用して来た過去から、
自然素材の塗り壁が見直されて来た今、何を見て行くべきか
大事なことを教えて頂きました。
伝統工法が基本であることを、もっと勉強します。

ありがとうございました。


投稿時間 : 12:56 個別ページ表示

2006年12月21日
 ■ 土の本見つけました。

ふしぎコレクション3
土のコレクション

著者    栗田宏一
発行所   株式会社フレーベル館
¥1600+税     

土って、こんなにきれいだったんだ!
と気づく本です。

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日本全国かけめぐって10年。
「全国の土を見てみよう」
「めずらしい色の土」
「土で遊ぶ」
「土から学ぼう」
土の素晴らしさを、じっくりと見て頂ける本です。

弊社で是非ご覧下さい。

投稿時間 : 10:49 個別ページ表示

2006年12月15日
 ■ 泥団子 教室

先日、弊社の近くにあるギャラリーで泥団子教室が開催れました。

講師は小沼左官工業の小沼充氏です。
小沼さんは榎本新吉さんの一番弟子でその卓越した技能は、
多くの人々の注目を集めています。
小沼さんが作る泥団子はどんなものか楽しみです。

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これは磨きのノロをかける直前の砂漆喰までかけてある団子です。

芯は土と砂と藁スサを混ぜたものを、最初はピンポン玉くらいの大きさに
丸く作り乾燥させて、さらに何回か塗り重ね大きくしていきます。

丸くする技はペットボトルの口から肩の部分を切り取ったものを道具にして
型を整えます。

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マスクの人が小沼氏です。

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団子の色は黄色とか赤みかかったものとか少し色づけしているようです。
この段階で「可愛い〜」と声があがりました。
確かにお菓子にも見えるような何とも優しい感じです。
この可愛い下地こそが仕上げを最高にする大事な塩梅なのです。
(塩梅:料理の味加減を整えるようにの意味。ほどよくする事)

本当はここまで作るのが大変なのです。

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まずはお手本を。

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磨き材料のノロを塗り付けます。
ノロとは好みの色土に生石灰クリームと糊材を混ぜた滑らかな
ペースト状のものです。
この日は7色ほど用意されました。

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上半分を塗り終えたところでペットボトルのキャップをクルクルと
走らせて薄く塗り広げます。
適度に乾燥したら同じく反対側も塗り付けます。
この行程を数回繰り返します。

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さあ、皆さんも作業開始です。

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2色仕上げにする為に今一度白いノロを塗り付けます。

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手も口も?良く動いて、楽しい楽しい磨きタイム!

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ガラスのお猪口や小さいコップを使って磨きます。
何分ほど経ったでしょうか、徐々に光りだしました。

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一個目の皆さんの作品揃い踏みです。
お見事! 感激!! 大はしゃぎ!!!

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私の作品です。
皆さん自分のが一番光っていると思っていますよね。きっと。

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全員引き続きいくつか作って磨きの腕を上げていました。
本当に泥団子作りはハマリます。

女性に優しい小沼先生は泥団子パワーでモテまくり?でした。
マスクをしている理由は何故かついに分かりませんでしたが・・・。
風邪をひいてる様子ではなかったし・・・。
前日にギョウザかニンニクの丸焼きでも食べたのかな?(怒られる)

ご指導、ありがとうございました。

投稿時間 : 10:21 個別ページ表示

2006年11月29日
 ■ 究極の 『現代大津磨き』

ここまで来たか!!

究極の大津磨きをご紹介します。
嬉しい事件でその作品を展示させて頂く事になりました!

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(加賀左官伝統技術保存会主催 左官アートコンペティション入選作)

「アトリエ テラ 田村和也先生」 の作です。

作品は、伊勢型紙の友禅型を使い糊置きのように土を置き千石磨き
(現代大津磨き)で仕上げたものです。
土は沖縄伊良部赤土と具志川クチャを使っています。

先生談
現在伊勢型紙の染め物型はほとんど使われることが無くなり、
全国各地の蔵の中に眠っています。
伊勢白子でも型紙は売れなくなり、型彫り職人の技が消えかかっています。
このような状況の中、まずは古い型紙を使いインテリアに活かせないかと
考えました。
インテリアでは大量生産を前提としませんから、この方法がうまくいけば
型彫り職人の活路が幾分でも開けるのではないかと思っています。
千石磨きと組み合わせることにより、西洋のフレスコ技法にも劣らない
左官技術になると考えています。

ウ〜ン、奥が深いんですね。改めて勉強になりました。
この磨きの素晴らしさを、是非見て頂きたいと思います。
皆様のお越しをお待ちしております。


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おまけのお話です。。。

この照る照る坊主が10月29日弊社技術講習会の日を
お天気にしてくれたのです。
前夜はザンザン雨が振っていて、手伝いに来ていた娘が作ってくれました。
いつも生意気なこと言ってますが優しいところもあるんです(涙)
小遣いをあげたのはナイショです・・・(甘)

投稿時間 : 08:08 個別ページ表示

2006年11月27日
 ■ 東京 赤羽橋 土蔵現場

東京タワーのすぐ近く、赤羽橋交差点の所にある妙定院で2棟の土蔵の新築が
行われています。左官施工はお馴染みの加藤左官工業様で、連絡を頂き早速
見学に行ってきました。

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現場に着いてみるとびっくりです。それは、まさに前回紹介した「どぞう」の絵本の
実況版なのです。またまた、写真が多いですがじっくりとご覧あれ。。。

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2棟の内のがっちりと荒縄で縛りあげた竹木舞の棟です。荒縄を掴んでみると
まったく緩みのない結び目です。
どぞうの絵本の中では「大きなとりかごのよう」と書かれていました。

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こちらは半分荒壁を付け終わった木木舞の棟です。

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竹でほねを作る木舞と違って、木をほねにして荒縄を巻いてあります。
ほとんど同じ型のの土蔵で2通りの仕様は珍しいことです。

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表からしっかりと塗り込められ木舞の間から荒壁土が盛り上がっています。

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これまた、絵本通りの荒壁土団子。
この土は、荒木田土に藁を混ぜ裏の敷地内で半年間寝かせたものだそうです。

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それに、さらに藁を混ぜ練り込み団子にします。団子にする訳は・・・。
色は写真以上に黒っぽくなっていました。

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団子の作り方は・・・遊んでいる訳ではありません。
直径20?位の大きさに揃えます。

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一個あたりかなり重いので大変な作業なんです。これがっ!

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そして、その団子を一個一個手渡しすると始まります。ショータイム♪

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ホイッ 上に放り投げるのです。

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そりゃ〜 とか、ヨイショ とか、ハイヨッ とか、投げる人は大変!
見ている方はとても楽しいです。(怒られる)

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初めて見る泥団子投球ショーに見入るばかり。
で、時々投げ損ねたり、受け損ねたりで大騒ぎ!祭りだ祭りだ状態です。

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上の足場では、真剣にキャッチしてます。
なにせ泥ですから微妙にソフトに受けなければなりません。
親方の加藤信吾様です。すべてにおいて熟練の技を発揮されます。
注目の瞬間です。

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ナイスキャッチの連続です。が、時にはごくまれに受け損ない・・・
泥爆弾と化すのでした。
結構被害は甚大で広範囲に泥破片が飛び散るのです。
それが、とっても楽しい。(また怒られるぞ)

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受け取った泥団子を塗り手に渡すと、

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どかっと木舞下地にぶつけるように付けていきます。
同じところにいくつも押しつけてかなりの厚みを取ります。
使う土の量は半端ではありません。体力も。

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厚い板を使って定木ずり。均一に馴らします。

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馴らした壁をすぐ追っかけ鏝で押さえ込んでいきます。
加藤専務さんです。
親方譲りの若くして土を使いこなす名工です。

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下げ降ろした荒縄を丁寧に伏せ込む作業です。
いつも思うのですが、モルタルでは感じられない優しい鏝使いなんです。
それも土の持つ魅力なのでしょう。
そして、「どぞう」の絵本の素晴らしさを更に実感したのでした。

加藤様と土と絵本に感謝をしながら、次回の作業を楽しみに待つ事にします。
ありがとうございました。

投稿時間 : 13:03 個別ページ表示

2006年09月28日
 ■ 東京 高田馬場 木舞荒壁

東京都新宿区高田馬場で建築中の木舞荒壁下地の現場を見学して来ました。
施工は地元の藤崎工務店様で、左官は埼玉県新座の加藤左官工業所様です。
加藤左官様は木舞荒壁から土壁仕上げ、土佐漆喰仕上げなどの伝統工法を
各地の現場で数多く施工されています。


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外側から見たところです。今回は柱と貫の関係で内側からの塗りつけになっているそうです。


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しっかりと塗りつけ裏側に荒壁土が充分に顔を出すように押さえます。


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内側の塗上がった状態です。柱(18?角)や梁は土壁仕様でかなり太くしっかりした物が使われています。元請けの島崎工務店様に伺ったところ、新宿の取引材木店が二十数年振りの仕事だと喜んでおられたそうです。


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差し込む日差しで輝く塗り立ての荒壁は、その独特な匂いと合わせ深く印象に残る自然の息吹を感じる壁でした。

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この様に加藤左官様の材料置き場で作り置きした荒壁用土を現場まで運び込みます。現在では駐車、停車も厳しい状況での作業は、一般建材の取り扱いとは違って大変です。


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荒壁土の作り方は、良質の荒木田土に押し切りで切った藁を混ぜ練った物を2〜3ヶ月寝かし発酵させます。大方の藁は溶けるそうです。そして、塗り付け前に出来上がった土にさらに藁を足して練り込みます。ご覧の様に、茶色の荒木田土がモルタルの様にグレー色になって粘度の強い独特の匂いのする荒壁土になります。手に取ると天然の素材で自然に出来る土のネバリは凄いなと驚きました。


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この日は2階の塗り付けだったのでポンプで圧送してました。昔は荒壁土を両手で持てる位の団子にして上へ投げ上げたそうです。


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こうして2階に上げた荒壁土を・・・


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炉端焼きで使う様な?長いヘラですくい取り・・・


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塗り付けている左官さんの鏝板に 「お願いします!」 「あいよっ!」 のかけ声でリズム良くヒョイッと乗せます。かなり早いテンポで土が塗り付けられオカワリって感じで鏝板が出て来ます。その声をよく聞くと、塗手は加藤左官様のレディースの方々も入っておられました。その見事な鏝さばきは必見です!


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荒壁塗りを終えた後は2〜3ヶ月置いてから次の塗り付け行程に入るそうです。
仕上げは外部内部とも土佐漆喰だそうで、先が楽しみです。
なかなか見られない小舞荒壁塗りを拝見出来て大変勉強になりました。
加藤左官様ありがとうございました。

投稿時間 : 08:28 個別ページ表示

2006年09月25日
 ■ 東京 伝統工法継承講習会

伝統工法及び現代工法継承研修会が、9月23日(土)東京都小平市に在る職業能力開発総合大学校に於いて開催されました。
主催は(社)日本左官業組合連合会で約120名の参加者が有り盛大に行われました。
午前中は伝統工法を現代工法にどの様に取り入れるか等の講義が行われ,午後からは 「木舞・三和土・洗い出し・切り返し・磨き」 の伝統工法が実演されました。
それぞれをご紹介したいと思いますが、まずはその1、大津磨きをご覧下さい。塗手は小沼左官様です。


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午後の技術講習の前に講師の紹介が行われました。日左連青年部エキスパート集団 「平成会」 の皆様です。


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小沼工業 小沼 充様は榎本新吉様の一番弟子で、芝の青松寺の磨きを始め多くの土壁や漆喰の現場作品を手掛けられています。特に磨きの技術は卓越したもので現在注目の左官職人さんです。

下塗り中塗りの段階はすでに終わっていて、上塗りからの実演です。上塗りも3層行程で、写真は一層目に塗る灰土(聚楽土10+石灰3+みじんスサ)塗りを行っています。


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チリ際を含めて縦、横、斜めに両手を使って強く押さえ込み充分にムラを取ります。この作業を伏せ込みまたはコナシと呼びます。


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鏝は、始めは地金鏝、後にはこなし鏝を使い数回押さえ込み(コナシ)を行い、灰土の段階で磨きをするつもりで表面に光沢が出るくらい繰り返します。


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仕上げ用引き土の(仕上げ用土10+石灰2+弁柄++紙スサ)材料です。
今回は拘りの白木節粘土と、俵に入れて自然に消化した石灰を使っています。
この土は輝きが良く出て、石灰は結晶が良いため押さえや締まりに違いがあるそうです。


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既に作り置きの秘蔵の引き土ですが、それをさらに鏝板に取って・・・


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そして細い柳刃鏝で、ほんの少量ずつ分けて心を込め練り直すのです。色むらや鏝むらなど出ない様に徹底した妥協の無い作業です。この拘りの材料作りがあってこその仕上がりだそうです。


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手塩に掛けた引き土を塗り始めます。


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2層目、3層目と水引具合を見ながら手早い鏝裁きで均等に塗り付けるのですが、それがお見事!


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さあ、いよいよ磨きです。両手でしっかり鏝を持って、いや腰から指先まで一体で引き土を押さえ込みます。後ろから見てると太極拳を見ている様です。この動きが均一に鏡の様に仕上げる技なのです。


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真剣勝負で汗をかきます。塗り手も磨き壁も・・・ビロードで壁の汗を拭き取ります。


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さらに磨き込むと・・・見て下さい。 顔が写ってます!
感激の瞬間で周りからも驚きの声が上がります。
強く美しい大津磨き壁、これぞ伝統の土壁、日本の壁です!!

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2006年09月22日
 ■ 奥田信雄の土壁 京都 花見小路 祇園吉うた

京都町歩き 第2回

鶴屋吉信様を後にして、花見小路 「祇園 吉うた」 の京壁を見に行く事にしました。
吉うた様は今年創業百年を迎えるお茶屋さんで、♪月は朧ろに東山〜♪
の 祇園小唄 の原文を残す老舗です。

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祇園吉うた様の京壁は 「京錆土水捏ね仕上」 で、奥田左官工業所の奥田様の手による物です。
弊社にも奥田様の作品で「京錆土 投げスサ荒壁仕上げ」 「本聚楽土 水捏ね錆出し仕上げ」
を展示させて頂き皆様にご好評を頂いておりますが、やはり実際に京都で日本の家の壁として目を向けた時、その奥深さにただただうっとりと見とれるばかりです。

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奥田様にとってこちらの吉うた様は、独立されて初めて本格的な京壁を塗らせて頂いた思い出深い現場だそうです。こうして又、年月を経て塗り替えの時にはお声が掛かる・・・これぞ左官冥利に尽きる、名工の成せるお話しだと思います。今回の施工にあたっては奥田様の所有する数百袋の京錆土の中から、最も京都の花見小路通りに似合う色合いの良い錆土を選び使用されたそうです。

おっしゃる通り、粋で洒落た祇園花見小路にひときわ目立つ実に艶やかな京錆土の水捏ね仕上げの壁です。

投稿時間 : 09:44 個別ページ表示

2006年09月19日
 ■ 京都 鶴屋吉信

京都町歩き 第1回
しっとりと、はんなりと古都の心を感じながら散策と参りましょう。

まず最初は、今出川通堀川の京菓子 『鶴屋吉信』 様にお邪魔しました。
享和三年(1803)の創業以来、京菓子文化と伝統を現在に伝える名店です。
京菓子の優れた伝統は、京都の豊かな文化や歴史、四季の自然に包まれて磨かれてきました。平成4年に竣工された新店舗は、京の伝統的な町並みを構成する町屋の様式にならい、現代的な建築の中に茶庭や露地を取り入れて京菓子の美が映える空間を作り出しています。

正面玄関から入り美味しそうな京菓子が並ぶとても広々とした余裕の店舗に言葉を無くします。

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品のある繊細な作りのお菓子が並んでいます。綺麗で美味しそうですね。どれをお土産にしようか悩みます。 がっ、しかし視線は徐々に壁や床に行き始めます・・・。職業病でしょうか悲しい?性です。

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なんと美しい見事な土壁でしょう。暫く動けず見入ってしまいました。すると店員さんがお茶を持って来て下さいました。そして 「おこしやす」 クゥ〜感激。

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奥に入って行くと、これまたゆとりのディスプレイ。デパ地下とは訳が違う!

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さらにその奥は商談用の個室です。

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2階に上がると、そこにはゆったりとくつろげるお休み処があります。全部のお部屋をご紹介出来ませんが趣向を凝らしたたお部屋で季節のお菓子とお抹茶などいろいろ楽しめます。ちなみに、この日は暑かったので「宇治大納言かき氷」を頂きました。今までに食べた事の無い美味しさでした。

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一番奥まった所に控えるのは、拘りの茶室「游心」です。
年4回季節の創作菓子を楽しむ茶会を開催されているそうです。
1階からご紹介をさせて頂いた土壁の塗り手は、京都の名工 佐藤左官工業所(佐藤嘉一郎、佐藤ひろゆき親子)様です。

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名工の技を屈指して塗り込めた仕上げは、木舞透かし壁です。わびさびの世界です。静かなここち良い空気の中でお茶を頂きながら、どの様にお茶会が行われるのか思いを馳せてみました。

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こちらのお部屋には、落ち着いた数寄屋風のカウンター席 「菓遊茶屋」 があります。熟達した菓子職人が、お客様の目の前で季節の京のお菓子を作って食べさせてくれるのです。お寿司屋さんじゃないけれど、見事な手さばきでみるみるお菓子の花が咲く様子が間近で楽しめます。

雅の京菓子、熟練の菓子職人、名工が仕上げた土壁 これぞ京のこころ 和のこころ。

お後がよろしいようで・・・。

投稿時間 : 11:49 個別ページ表示

2006年09月15日
 ■ 京都 土処 中内建材店

京都 中内建材店様をお尋ねしました。 壁土では日本を代表する究極の色土を製造販売する建材店様です。創業は明治元年で西陣(聚楽第跡地)で聚楽土の採取を始められたそうです。本物の聚楽土であるが為に良い壁土にするのは配合が難しく大変手の掛かる作業ですが、現在もその伝統製法を忠実に守っておられます。京都駅からタクシーに乗り目的地を告げます。「上京区浄福寺中立売上ル東西俵屋町へお願いします!」 いやー、これを言うと京都に来たな〜と一人でシビレています。

京シビレの具合もほど良くなった頃、到着です。

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中に入れて頂くと、まさに土ワールド。この様に採取した聚楽土を隠して?あるんです。
何処で採取しているかと言うと(中内建材店様の土壁総合カタログより抜粋)
豊臣秀吉が自らの権力を誇示するために造営した聚楽第は、天正14年1586年2月に着工し、翌年9月に竣功します。天正16年4月には後陽成天皇の行幸を仰ぎ、諸侯に忠誠を誓わせました。その後、養子秀次が住みますが、文禄4年1595年秀次が謀反の疑いで追放されたあと秀吉は破却を命じます。現在その跡地付近で建築工事をされるときに(基礎工事の掘削の段階)地下2〜3メートル掘ると聚楽土30?〜2メートルの層に当たりそれを採取しています。

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その土を小分けして乾燥させます。

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手に取って爪を立てて擦り付けると、当たった部分に艶が出て光ります。良い土の見分け方です。

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この機械で土を精製します。ベースになる部分は戦前から使われている物だそうです。

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40?程の円筒の壺の中へ乾燥した土を入れ、それを餅つきの様に突いて粉砕します。聞くところによると、この製法で土の中の不純物や石を必要以上潰さず、上質の粘土分を持った土を抽出する事が出来るそうです。技ありの機械です。

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藁スサも制作されています。こだわりの藁です。

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その藁を希望のサイズにカットする機械です。機械自体全部オリジナルです。

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土壁の仕上げ方に合わせて何通りものスサを製造されています。

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そして、出来上がった土は袋に収められ、この様な荷姿になって出荷されます。

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簡単な説明になってしまいましたが、中内建材店様の伝統技術は大変に奥の深い京都の歴史上に培われた究極の文化であると思います。その土を使って仕上げた壁や土間が住み心地や健康に良く素晴らしいことは容易に想像出来ます。お邪魔して土の匂いの中に浸っていると心が洗われ、もっと土の事が知りたくなりました。本当の土のソムリエになるのはまだまだ先の話ですね! 中内様ありがとうございました。今後もご指導よろしくお願い致します。

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