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2007年06月19日

 ■ 泥団子の気持ち

最近、何かと気忙しい日々を送っていた時に、
恩師、榎本新吉氏からお声がかかり千石のご自宅へお邪魔しました。

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原点に戻って泥団子の勉強をさせていただきました。
しかし、いつ来ても、来る度に材料も技も進化し続けているのです!
榎本親方の探求心には本当に驚かされます。

先ずは、マイコレクションをご紹介します。
沖永良部島の土で作った泥団子です。

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木節粘土をベースに、黄土を少しトッピングした作品です。
淡い色合いはなかなか魅力的です。

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これは、3年前に作ったものです。
白ベースに藍染めの藍色で模様を付けた団子は今も輝きを保っています。

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お次は、弊社の技術講習会「黒漆喰磨き」で使った黒ノロを、
榎本親方が手を加えて作ったノロで仕上げた泥団子です。
実はこれは少し前、家内が親方に手解きをいただいて作ったものです。
すっかり自信付けて偉そうに持って帰って来ました。
(材料が良いからなのだ!)

でも、深みのある輝きは見事です!!

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そして、私が作った泥団子2個です。

ご覧下さい。
今までに見たことの無い色合いと雰囲気です。
左官教室の小林編集長が 「利休ねずみ」 と言ったとか。

薄墨を使うこの技法は、千石磨きの進化を象徴する逸品です。

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数日後、再び伺うとこれまたビックリの泥団子教室です。
下地を整えた後、何やら不思議なものが混ざった薄緑色の
ノロを塗り付けます。

榎本親方、それを何かは明かしてくれません。
重ねて塗り込むうちノロの色がだんだん濃くなっていきます。
あれ?これって・・・。

親方の命令でお教えするのはもう少し後に致します。
まったく、どこまで進化するのでしょうか?
榎本氏の飽くなき探求心は計り知れないものがあります。

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これも3年位前に貰った泥団子の一輪差しです。
命を宿しているような愛らしい小さな団子です。

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榎本親方の相変わらず愛ある厳しいお言葉をいただきながら久し振りに
泥団子作りに没頭しました。

慌ただしい毎日に、忘れかけていたものがにじみ出て来ました。
土いじりは癒されます。
土にはとても不思議なパワーがあります。
土のことが益々知りたくなりました。

また、榎本親方の 「ほーら、引っかかった!」 が出ました。
う〜ん、またしてもやられた!

こうやって、良いタイミングで声をかけてくれる優しい親方なんです。

家に帰ってじっと泥団子達を見ていると、それぞれの気持ちを語りあっているように
見えます。
「良い塗壁を作る為の実験の意味も含めて、早く世に出て人を癒す壁になりたい」
それぞれ皆、志の高い可愛い奴らです。

自然の素材だけで作る泥団子の素晴らしさは実に魅力的です。


投稿者 Tomizawa : 2007年06月19日 07:49