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2006年09月25日
伝統工法及び現代工法継承研修会が、9月23日(土)東京都小平市に在る職業能力開発総合大学校に於いて開催されました。
主催は(社)日本左官業組合連合会で約120名の参加者が有り盛大に行われました。
午前中は伝統工法を現代工法にどの様に取り入れるか等の講義が行われ,午後からは 「木舞・三和土・洗い出し・切り返し・磨き」 の伝統工法が実演されました。
それぞれをご紹介したいと思いますが、まずはその1、大津磨きをご覧下さい。塗手は小沼左官様です。
午後の技術講習の前に講師の紹介が行われました。日左連青年部エキスパート集団 「平成会」 の皆様です。
小沼工業 小沼 充様は榎本新吉様の一番弟子で、芝の青松寺の磨きを始め多くの土壁や漆喰の現場作品を手掛けられています。特に磨きの技術は卓越したもので現在注目の左官職人さんです。
下塗り中塗りの段階はすでに終わっていて、上塗りからの実演です。上塗りも3層行程で、写真は一層目に塗る灰土(聚楽土10+石灰3+みじんスサ)塗りを行っています。
チリ際を含めて縦、横、斜めに両手を使って強く押さえ込み充分にムラを取ります。この作業を伏せ込みまたはコナシと呼びます。
鏝は、始めは地金鏝、後にはこなし鏝を使い数回押さえ込み(コナシ)を行い、灰土の段階で磨きをするつもりで表面に光沢が出るくらい繰り返します。
仕上げ用引き土の(仕上げ用土10+石灰2+弁柄++紙スサ)材料です。
今回は拘りの白木節粘土と、俵に入れて自然に消化した石灰を使っています。
この土は輝きが良く出て、石灰は結晶が良いため押さえや締まりに違いがあるそうです。
既に作り置きの秘蔵の引き土ですが、それをさらに鏝板に取って・・・
そして細い柳刃鏝で、ほんの少量ずつ分けて心を込め練り直すのです。色むらや鏝むらなど出ない様に徹底した妥協の無い作業です。この拘りの材料作りがあってこその仕上がりだそうです。
手塩に掛けた引き土を塗り始めます。
2層目、3層目と水引具合を見ながら手早い鏝裁きで均等に塗り付けるのですが、それがお見事!
さあ、いよいよ磨きです。両手でしっかり鏝を持って、いや腰から指先まで一体で引き土を押さえ込みます。後ろから見てると太極拳を見ている様です。この動きが均一に鏡の様に仕上げる技なのです。
真剣勝負で汗をかきます。塗り手も磨き壁も・・・ビロードで壁の汗を拭き取ります。
さらに磨き込むと・・・見て下さい。 顔が写ってます!
感激の瞬間で周りからも驚きの声が上がります。
強く美しい大津磨き壁、これぞ伝統の土壁、日本の壁です!!
投稿者 Tomizawa : 2006年09月25日 10:18