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2008年01月24日
京壁の巨匠 京都 奥田左官工業所
奥田 信雄氏をお訪ねしました。
(写真右)
奥田氏は1950年生京都まれで、京の町屋の仕事を多くこなす師の元で
左官の基礎を習得し、その後数寄屋を手掛ける親方につき伝統的な
京壁を学ばれました。
現在、国宝、重要文化財等の多くの工事に関わっておられます。
そして、京都の左官鏝の研究では第一人者としてその名を知られて
います。
奥田氏、前回のご紹介(2006年6月10日)(2006年9月22日)
(2007年9月5日)
先ずはその一級品の鏝をご覧下さい。
この様な美術品や貴金属などを飾るガラス張りのケースが
いくつか置かれ、その中に・・・。
充分に手入れの行き届いた鏝がぎっしりと整列していて、
その美しさに目が釘付けになります。
柄に押された奥田の文字の凛々しさと想像以上の数と種類の鏝は、
常に土壁の先端を歩む奥田氏のオーラが染みこんだ逸品です。
どうですか、写真からもその凄さを分かっていただけると思います。
しかも、かなりの数は現役で使用されているそうです。
そして、幾つかの引き出しの中もこの通り!
奥田氏はどの鏝も、我が子を可愛がる良き父親のように優しく
手に取り説明してくれます。
それぞれにこだわりと愛着が詰まった一丁達で、そのルーツと、
用途など様々なお話を伺いました。
どれほど可愛がっているかと言うと、この容器に入っているロウを、
暖め溶かし、使う度に丁寧に鏝達に塗り付けケアしているのです。
この子達は本当に幸せモノですね!!
奥田氏のサンプル作りも、その几帳面さが伺われます。
ビシッとした木の箱に収められた塗り見本は・・・
京壁や土間の三和土仕上げ(上)など、奥田氏の技術が見事に
表現された秀作揃いです。
目利きのお客様がこれを見て感激する事は間違いの無いところです。
これは奥田氏が過去作った中で一番良く出来た、納得の(左から)
糊捏ね用のみじんスサ、水捏ね用のみじんスサ、みじん砂です。
20年前に作った物だそうです。
そして、京錆土の最高の物はと尋ねると、
これですと出して頂きました。
常に京錆土だけでも数百袋を在庫している中で、
やはり20年ほど前の最高級品です。
以上4点、ちゃっかり頂いて参りました。
奥田氏は究極の水捏ね仕上げを追求しています。
それは、土と砂とスサで造り出す伝統的・・・いや、それを超える
水捏ねの京壁の追求です。
道具から材料、技、心、全てを一体化し一切妥協することなく、
真っ直ぐに取り組む姿勢は、見ている者にとってもきりりと身の
引き締まるような思いがします。、
奥田氏曰く
「京都の壁が如何に優秀か、如何に凄いかを立証していきたいと
思っています。」
「自分が塗った壁は、はたして伝統工法に値するのか、
いつも自分自身に問いかけています。」
この言葉に京都を代表する奥田氏の京の心意気全てが込められて
います。
そして、氏の追求する究極の水捏ねは常に進化し続けています。
京土壁の奥深さを骨身に?染み込むほど教わり、大変勉強になった
一日でした。今後もご指導をよろしくお願い致します。
奥田様ありがとうございました。
投稿者 Tomizawa : 2008年01月24日 10:21