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2006年10月02日

 ■ イタリア 石灰文化 アルベロベッロ

石灰シリーズ 一回目
以前、新着情報でご案内しました南イタリアの石灰文化を改めてご紹介します。
昨年秋に訪れた、イタリアのブーツの様な地形の踵部分にあたるプーリア州のムルジュ地方アルベロベッロの町をご案内します。


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ゆるやかに登る丘の斜面に愛らしい円錐型ドームを持ったトゥルッリ民家がぎっしりと並んでいます。
この絶景を見た瞬間、想像を超えた世界にパニック状態になり、頭の中で暫くの間ガガーンとドラが鳴り響くほど感激しました。


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円錐ドームがのった一部屋からなる建物を 「トゥルッロ」 と呼び、このドームをいくつか持つ複数形の建物を 「トゥルッリ」 と呼んでいます。アルベロベッロの旧市街地を構成する、モンティとピッコラの二つの地域には、1430戸のトゥルッリがお互いに肩を寄せ合う様にぎっしりと集まっています。
この民家の原型は紀元前からあり、集落となったのは15世紀後半にこの地域を管理する伯爵が土地を開墾するために農民を集めて居住させたのがその起源です。ここの住人の大部分は早朝には郊外の農地に働きに出て行き、日没後に町へ帰ってくる生活を送っていました。


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町の中に入るとなんと素晴らしい家並み! おとぎ話に出てくる様なたたずまいのせいか、トゥルッリにはどこか人をメルヘンの世界へ誘う雰囲気があります。
屋根の頂上にあるピナクルは宗教的な意味を持ち魔除けや太陽崇拝の象徴的表現だろうと考えられます。ドームの外側に白く描かれたサインには占星術的シンボルを思わせるものやキリスト教のシンボルと結びつくものが見られます。
屋根は薄いスレート状の石灰石を何層にも積み上げています。元は白い色をしていますが長く空気に触れている間にカビや微生物がつき、風合いのあるグレー色に変わります。ドーム下の外壁の部分には漆喰が塗られており、太陽の下で白く輝く姿は眩いばかりです。その白い壁と濃灰色の屋根の対比が非常に美しいんです。
肌合いは、繰り返し石灰クリームを塗る為その層の重なりで独特の丸みや窪みが生まれ、新しい建築には無い味が出ています。壁を刷毛で塗る仕事は伝統的に毎土曜日に女性が行う事になっており、小さな子供がそれを手伝うそうです。
白い民家や集落は、他の地中海圏にも広く見られますが、こうして建物を石灰で塗る事により疫病から守る事が出来たと同時にそれが、土着的建築の美の意識となり輝く白さを常に保つ事が住民の間の良き風習となったのでしょう。


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しかし、実際のトゥルッリは甘い夢の中に生まれた建物ではないのです。その背景には厳しい現実がありました。
まず、地表のすぐ下を掘れども掘れども石灰石しか出てこない土地に生まれた人々がその石で作った建築物は素朴なものでした。さらにこの地域の伯爵が、王様に支払う不動産税を免れる為に住民達にモルタルを使わない石を積み上げただけの単純な構造の住居を強要しました。これなら徴税の為に王の監査人がやって来た時にも簡単に解体が出来監査の目をごまかす事が出来るからです。
近年は石灰モルタルでガッチリ固定していますのでご安心を。


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南イタリアのマンマです。突然お邪魔してカプチーノをご馳走になりました。
家も素晴らしいけど人も良い。とても明るい元気で素敵なマンマでした。


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壁は80僂ら厚いものでは2mになる物もあり、古い建物ほど厚くなる傾向があります。入り口以外にはほんの小さな窓しかありませんが、内部も石灰で白く仕上げられているので充分に明るく、清潔な空間が保たれています。また、壁が厚いので外気の変化が内部に伝わりにくく、夏は涼しく冬は暖かいそうです。こうして食べ物など吊してありますが石灰の消臭効果で臭いもしませんでした。


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さらに、時間を忘れて夢中で散策しました。


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すると、なんと可愛い絵になるエノテカ=酒屋!
そのまま通り過ぎる訳には行きません。
美味しいワインとチーズを選んでみましょうか。
レモンチェッロも忘れずに・・・。
では、続きは後程と言う事で、チャオ!!

☆現地でお世話になったアツゥーシ(田邉淳司)様、ありがとうございました。

投稿者 Tomizawa : 2006年10月02日 12:31