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2007年04月02日

 ■ 榎本新吉  囲炉裏塗り

その囲炉裏を持つ家は浅草にある田舎屋造りの純和風建築です。
約50年の歳月が経ったとは思えないほど綺麗で趣のある家です。
壁と囲炉裏は若い時の榎本氏の手によるもので、その技の素晴らしさには
言葉を失います。
以来、お施主様のお声掛けで榎本氏が塗続けている田舎屋です。

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3月28日 桜の花が5〜6分咲きのとき榎本氏が囲炉裏の塗り替えをすると
聞きお邪魔しました。
榎本さんが塗る姿を拝見するのは久し振りです。
嬉しくてとても心が弾み浅草へ小走りに向かったのでした。

現場に着くと下塗りが締まり、丁度上塗りが始まろうとしていました。
勝又左官様(右)と河西左官様(左)もお見えになっています。

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やってるやってる!榎本さんが塗り付けています。

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色鮮やかな稲荷山黄土仕上げです。
秘蔵のトロリとした仕上げ黄土を少しずつ鏝板に取り丁寧に塗り付けます。
程良く締まった下塗りに仕上げ土をしっかりと塗り付けると、
かすかに鏝に擦れるみじん砂の音がサラサラと聞こえます。
とても心地良い音です。

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天端から丸い面の部分を通して床の方へ一連の動作で何回も
塗り付け押さえます。
まるで女性のお化粧のように?
いやそれ以上にやさしく!

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丁寧に丁寧に塗り付ける姿は、しなやかな舞いのような動きに見えます。

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そう言えば以前、榎本さんに日本舞踊のどこを見るか教わった事を思い出しました。
腰や体中心の動きが完成されれば手先の動きも生きてくると。
まさにその言葉通りに体を使って塗ってます。

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えっ榎本さん、あまりにも集中し過ぎて中に落ちないで下さい!!

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細かい部分をとても柔らかい使い込んだ本焼トメサラエで仕上げます。

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伝家の宝刀たちです。
炉や囲炉裏を塗る時に使う専用の鏝です。
小さい物は5儖未任箸討皺聴Δご兇犬任后
榎本さんにとって子供達みたいな鏝なのです。

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ひとたび鏝を持てば真剣な表情になります。

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刀は握らせない方がよいかも・・・怖ぁ〜。

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と、次の瞬間 「これ、高っけぇーんだぞ〜!」
お茶目な笑顔で周囲の緊張が壊れます(笑)

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「何年生まれ?」 と突然聞かれました。
○○年生まれですと答えると、「この鏝は2才年上だ」と言われました。え〜っ!
「こっちは少し年下だな」 鏝表の表情が良いですね。
見事な減り方で両脇の当たり部分の色が変わっています。
思わず写真を撮っちゃいました。

握ってみると不思議なくらいしっくりと来ます。
長年榎本さんによってこなされた性質は凄く繊細な柔らかさを持っています。
しかし柔らかくても塗り付ける土を逃がさずに捕まえて塗れる名器だそうです。

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愛弟子の河西さんも親方譲りの真剣な眼差しで鏝をチェックします。

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高度な技術で仕上げをする勝又さんです。
わずかなムラも見逃しません。

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信じられない程の綺麗な仕上がりに榎本さんの 「上等だね」
が出ました。

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納得の仕上がりにホッとした表情の勝又さんです。

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「何だか分かるかい?」
「何で来るの?」
「ほーら、いっぱいひっかかった!」
この笑顔で言われたらたまりません。
榎本さんの奥深く優しい人柄にただただ浸るばかりです。

食べる事でしか至福を感じなかった私(反省)ですが!?
左官の技を拝見して身震いするほど強烈な至福を感じる事が出来ました。

まるで夢の中に居たような田舎屋の世界でした。
お施主様、榎本様、皆様、見学させて頂きありがとうございました。
材料屋として益々精進致しますので今後ともご指導よろしくお願い致します。

投稿者 Tomizawa : 2007年04月02日 14:30