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2007年03月19日
小松左官工業 名工 「小松 七郎」氏をお訪ねしました。
今回は東京都左官職組合連合会 青年部 平成会の皆さんの
小松氏オリジナル 黒ノロ作り の講習会に参加させて頂きました。
埼玉県所沢市にある小松左官工業様の作業場です。
凄いメンバーが揃いました。雑誌やテレビで拝見した方々です。
黒ノロは磨き壁を作る時に仕上げの段階で使う材料で、
下地の乾燥具合をを見て塗り付けさらにタイミングをはかり、
鏝で磨き込むと輝き出す宝物のような材料なんです。
良いノロを作る為には使う素材を吟味し、出来上がった物を
壺に入れてしばらく寝かして置きます。
ワインのように何年ものと言われ大事にされています。
黒磨きの見本板です。
見て下さい、鏡?と思うぐらい写るんです。
さあ、このような磨きが出来る究極のノロ作りを始めましょう。
これは糊分となる銀杏草つのまた(乾燥した海藻)です。
海藻のネバネバが糊なんです。
水洗いをして付いている白い塩を取ります。
にかわです。
動物の骨や皮などを水で煮た液を固めたゼラチン質の接着剤です。
今回は牛骨のにかわを使います。
そのにかわを一晩水に浸けた物です。
銀杏草つのまた とにかわを水で煮込みます。
左側 勝又左官工業 勝又氏、右側 小松氏のお料理教室?
不純物を取り除きながら溶けるまで煮ます。
潮の香りがしてきました。
30分程煮込んだらフルイでこします。
良くこして糊エキスを抽出します。
つのまたニカワ糊と、フルイに残った つのまた のカスです。
次に石灰の準備です。
これは何と18年物の俵灰です。
小松氏オリジナルではこの俵灰と貝灰を配合します。
俵灰7と貝灰3の割合で混ぜます。
両方の石灰を80目で充分に篩い、固まりや粒状の物を取り除きます。
この作業によって墨や糊と混ざりやすくします。
一つ一つの作業に手間を掛けるんですね。
配合も計量器を使ってキッチリと行います。
いつも思うのですが、まるでケーキ作りのようです!
水で丁寧に練り込みます。
硬めに錬り上がりました。
今度は墨の練り込みを行います。
使う墨は大阪 楠本産業の金龍印 濡羽色油烟墨 です。
混ぜる液体は何とよく飲んでいる25度の焼酎です!
右 小松氏 「墨に混ぜるより飲んだ方がいいな!」
中 木村氏 「そおっすね!!」 (有)木村左官工業
左 河西氏 「・・・・・・」
と、黒装束の河西氏は無言で混ぜていたのです。
その他工業用のアルコールなどを使うと水より混ざりやすいのです。
綺麗な照りのある墨が錬り上がりました。
なるほど良く溶けていますね。
これで、つのまたにかわ糊と、練り石灰、練り墨が揃いました。
3種類を混ぜ合わせます。
小松流 黒ノロの出来上がりです。
トローリとしたきめ細かなノロです。
こちらは小松氏秘蔵の壺に入った黒ノロです。
2年以上寝かせているそうです。
まだ新しい物はこの様に不純物が浮いてくるので
定期的に取り除きます。
ノロ作りが終わったところで小松氏の鏝(こて)コレクションを
拝見しました。
すべてを見る事は出来ませんが、でもその多さにびっくりです。
どれも可愛い思い入れのある名品です。
「これは金沢城の施工で使った思い出の鏝なんだ」と、
手に取って優しい目で鏝を見つめる姿は実にカッコイイです。
仕事人 「小松 七郎」 の語る言葉にはとても重みがあります。
最後に 「失敗が色々な事を教えてくれる」 と締めくくって下さいました。
小松氏の仕事に対する情熱に大きな感動を覚えました。
内容の濃い充実した一日でした。
小松様、ご家族の皆様お世話になりました。
材料の事をもっと勉強して教えを生かせるよう頑張ります。
ありがとうございました。
投稿者 Tomizawa : 2007年03月19日 16:51