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2011年03月08日

 ■ 京都 NPO日本伝統左官技術振興会

2月27日(日)京都 大聖寺と京都府左官技能専修学院において、
NPO日本伝統左官技術振興会の第1回講演・研修会が行われました。

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大聖寺は足利義満が開基した門跡尼寺の上位に位置する、
由緒ある寺院です。

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会長の佐藤ひろゆき氏と講師の久住章氏が中心となり、
午前10時に大聖寺に集合して研修が始まりました。

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大聖寺の枯山水庭園は京都市指定名勝です。
その庭園を囲む土塀の復元修復工事現場を見学しました。

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約50メートルほどの土塀は歴史を感じる重厚なものですが、
傷みが酷く修復の難しさを思い知らされた一瞬です。

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工事を請け負った佐藤ひろゆき氏と京都の左官職人さんの、
試行錯誤の繰り返しで作業を進めている状況を
真剣に聞き入る参加者の皆さんです。

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浅黄土を配合して青味がかった漆喰を施した素晴らしい土塀です。

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下地中塗りまで施工した壁面です。
かなり長いピーンと通った面に技術力の高さが伺われます。

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大聖寺での研修を終え、場所を京都府左官技能専修学院に移し、
講演が行われました。

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学院の内部は左官技がいたるところに施されています。
壁一面に広がる歴史絵巻の鏝絵作品も京都の左官職人さんが
力を合わせて完成させた大作です。

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さすがお見事、蛇腹の凄さも必見ものです。

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鏝の展示を前に講演の前から盛り上がる皆さんです。

さすが京都にはこんなに素晴らしい左官の学校が有るんです!

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講演会は、前半に大聖寺の工事記録の映像を見ながら土塀修復の技法を
勉強しました。既存の土の性質を見極め、それに合う土の配合を考え、
また、構造面でも瓦を乗せる天端の補強や、仕上げにも耐久性をを充分に
考慮するなど、豊富な知識と経験を生かした技は目からうろこの
ノンフィクション左官物語でした。

後半は久住氏が見て来たヨーロッパ土建築の紹介が行われました。
フランス、イギリスの独自の工法は興味を引くものばかりで、
氏の体験から表現される世界は魅力たっぷりなものです。
これからの施行法に新たな可能性が期待できる内容でした。

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NPOとしての左官広報活動についても大事な研修のテーマです。
漆喰、土壁の優れた機能性を科学的に検証し、時代に即した提案が
出来るようデータ等も充実させる旨の報告がありました。

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佐藤氏と久住氏の講演は何度聞いても、左官愛と情熱が溢れる
聞く人を引き込む魅力一杯の世界です。

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ご両人とも、どこまで深い知識の持ち主なのか計り知れません!

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鏝の話は決して他では聞けない究極のものです。
100年前の出来事を今の事のように思えてしまう談議は、
職人魂をくすぐる応援歌のようです。

最後の質疑応答では活発な意見交換が行われいろいろな話が出る中、
各自が地元の土を採取しそれが壁材として適するものか情報を持ち寄る
案が出て盛り上がりました。

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一日の講演・講習会はあっと言う間に終了しました。
京都の本物の左官伝統工法に触れることは本当に良い勉強になります。
志を同じくする最高の仲間が集まって交流出来る有り難さを、
つくづく感じることの出来たNPO日本伝統左官技術振興会でした。
佐藤ひろゆき様、久住章様、ご参加の皆様、ありがとうございました。

せっかくの京都ですが日帰りなので足早に東京へ向かうことにします。
でも思い切り後ろ髪を引かれる思いなので、
少しだけ鴨川沿いを散策して帰りますか・・・。

日本伝統左官技術振興会では会員を募集しています。
左官・漆喰・土壁に興味をお持ちの方ならどなたでも歓迎です。

詳しくは
日本伝統左官技術振興会 京都事務所
(有)京壁井筒屋佐藤 内
TEL 075 461 1278
FAX 075 461 7446

投稿者 Tomizawa : 2011年03月08日 16:50